• テキストサイズ

【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第6章 海(の前)


どうしようか。



何をするにも躊躇ってしまうけど。


佐藤の横に移動して、そっと背中をさする。





「俺の前では我慢しなくていいから。

泣きたければ泣けばいいし、吐き出したいことがあれば吐き出せばいい。

何も言わなくてもいい。

ただ、佐藤が少しでも楽になる方法があるならなら、それを教えてほしい」





今まできっと我慢していただろう声が漏れる。





「………なんで、こんなことに、なっちゃったんだろうって。

私の何がいけなかったんだろうって。

なんで、私じゃダメだったんだろうって………」



「うん」



「………なんで、あの子なんだろうって」



「うん」



「もうどうにもならないのに………。

もう大丈夫だと思ってたのに………。

いつまでも前を向ききれない自分も、嫌です」



「………たぶん。

そう簡単に、立ち直れることじゃ、ないかもしれない」



「私はいつまでこんな気持ちでいるんでしょうか………」



「わからない。けど」





次の言葉が出てこない。





「……本当にすみません………。家にまで来てもらって。

ただ、一人でいるのがどうしても辛くて………」



「そういう時のために俺がいるんじゃないの?


………頼ってよ。

一人で抱え込んでほしくないし、他の人に頼るなら、俺に。

頼ってほしい」



「………黒尾さんは優しいですね」



「佐藤にだけね」





返事はなかった。


ただ、佐藤の背中をさすった。



少しでも、落ち着いてくれたらと思って。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp