• テキストサイズ

【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第5章 食事へ.2


「ごめんね。突然こんなこと言って」



「いえ、でも、びっくりしました……」





手元のグラスにアルコールはほとんど残っていなかったけど、ほとんど透明の味がない液体を体に流し込む。





「どうする?まだ飲む?」



「ええっと……」



「時間。まだ大丈夫?」



「あ、はい。終電に乗れれば」



「じゃあ、場所移動しない?」



「あ、はい」



「じゃあ、ちょっと待ってて」





半分ないくらい残っていたグラスの中身を一気に飲み干して席を立つ黒尾さんをボーッと眺める。

突然の出来事に頭が追いつかない。



黒尾さんが?


私を?



なんでそんなことになってるんだろう?


てかこのまま飲みにいっても、なに話したらいいんだろう?


つい「はい」って答えたけど、とりあえず今日は帰るべきだったのでは?



グルグルグルグル考えていたら。





「お待たせ。出よっか」





戻ってきた黒尾さんがスーツの上着を羽織るのをみて。





「あっ!」



「え、なに?」



「もしかして、お会計……」



「気にしないで」



「いや、だってこの前も……」





またやらかした。

今日はちゃんと、というか絶対出すって思ってたのに。





「俺が誘ったんだから」



「いや、でも……」



「カッコつけさせて?」



「……すみません。ありがとうございます。ご馳走様です」



「どういたしまして。じゃ、行こっか?」 



「あ、はい」





外に出ると、冬の空気がピリッと肌を刺す。

今週に入って一気に寒くなった。





「やっぱり冬はさみーな」



「ですね。そろそろコート出さなきゃ」



「俺は預けっぱなしだから、取りに行かなきゃな~。

あ、次も場所俺が決めていい?」



「お願いします」





何もなかったかのような、いつも通りの黒尾さん。

かたや私はなんだか黒尾さんを見ることが出来なくて。

少し後ろをついて行く。





「あ、ごめん。歩くの速かった?」



「あ、いや!大丈夫です!」





私が遅れてると思ったのか。





「そう?速い時は言ってな?」



「…はい」




1時間前とはうって変わって、どうしても勝手にぎこちなさが出てきてしまった。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp