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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第77章 不知夜月


電話を切って、圧力鍋の火を止める。




手抜きしてよかった!


これ、ご飯中途半端だと行けなかったし。





黒尾さんから連絡があるまで

残りの洗濯物を畳んで。





【今乗った】





本当はもう少し出るのは後でいいんだけど


ゆっくり安全運転で行くために、


あとはもう少し月を見るために、



早めに家を出る。





駅までの道では背中に月があるから

ちょっと残念。




あと、当たり前だけど

どんどんどんどん昇ってって。





あっという間に、いつもの


いや、いつもよりは


少し大きめの月へ。





……………。





駅のエントランスで黒尾さんを待っていると




人の流れにのって出てくる、


頭ひとつ分大きい黒尾さん発見。





顔の横で手を振っていると


気付いてこっちに向かってきてくれて。





「お疲れ様でした!」



「奈々もお疲れ。

今日の月も綺麗だなァ」





空を見上げながら





だけど。





「違うんです!さっきまではこのくらい大きくて


黄金色に光ってて、

クレーターももっともっとハッキリ見えて!


なにより怪しい月だったんです」



「怪しい月(笑)」



「いや、めちゃくちゃ褒めてます!

あんなに大きい月、滅多に見れないのに。

黒尾さんに見せれなくて残念です」



「ダナ~」





黒尾さんの棒読み





「また思ってもみないことを」



「いや、そういうわけじゃなくて」



「別にいいんですよ?」



「イエイエ。

ただ、こんなに空見上げること、

今まで俺の人生でなかったし。

やっぱりお前と一緒にいると楽しいな~と思って。


だけど外だから自粛した」



「そうですか?

じゃあこれからも報告していいですか?」



「もちろん。ぜひよろしくお願いします」



「かしこまりました」



「お願いしますネ?

…………で、ちょっと待ってて。

チャリとってくる」





駐輪場から自転車をとってくる黒尾さんを待つ。



そのあとは

ゆっくり漕ぐ黒尾さんの後ろをついて帰った。





明日は、どんな月なんだろう。
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