第75章 ウェディングドレス.2
それからしばらくして
担当のお姉さんが来てくださり。
少し話をした後、
まずは見てみませんか?と。
「黒尾さんはどんなドレスがいいですか?」
「奈々が着たいものを着たらいいよ。
って言うけどその前に」
白い手袋をつけて、いくつも並んでいる
純白のウェディングドレスを見る黒尾さん。
「あ、コレ。こういうの」
黒尾さんが手にしたのは
マーメイドタイプ
「なんでそれなんですか?」
「だって前に通った時、奈々がこういうの見ててさ。
あーーー。絶対似合うよなァって。
最終的に奈々が好きなやつ着てほしいけど
俺の希望だと、コレを着てる奈々が見たいなァという感じなんですけど。
着てくれます?」
今までずっと我慢してきた涙が溢れる。
「素敵な方ですね」
いつもは謙遜して
そんなことないです。って答えるんだけど。
「はい」
黒尾さんは私にはもったいないくらい素敵な人。
だけどもう、
黒尾さんなしの人生なんて考えられない。
黒尾さんが選んでくれたドレスを纏う。
鏡に映る初めての自分がこそばゆい。
カーテンがそっと開けられると
優しい表情の黒尾さんと目が合う。
「やっぱり。思った通り。
すごく、似合ってる」
黒尾さんの言葉に
表情に。
また涙が溢れそうになるんだけど。
「泣ァくなって!
涙は本番に取っておいてください?」
そっと差し出してもらったハンカチを受け取って。
「うーーーーー。
…………ハイ」
ねぇ、黒尾さん?
私との時間を、
私のことを大切にしてくれて
本当にありがとうございます。
そしてこれからも
どうぞ、よろしく。