第5章 食事へ.2
「いや、ただの高校生のバイト先の先輩だし、あっちもバイト先にいた高校生だよ」
「でも久しぶりに会って何かあったりするじゃん!」
「いや、何もないし。
ただ前から私は仲良いと思ってたし、アキくんいる日バイト楽しいなって思ったりしてたから久しぶりに話せて楽しかったよ」
「それー!その時彼氏がいたから何もなかったけど、それって恋じゃん!」
「そう?
……もしあの時のアキくんと付き合ってたら楽しかったんじゃないかなって思うけど」
「今は?」
「大人のアキくんは、知らないしなー」
「今から知っていけばいいじゃん!ナシじゃないんでしょ?」
「それはそうだけど~」
「全然知らない人より、そういう前から知ってる人の方がいいと思うけどな~。
アキノリくんもちょっとその気あるんじゃないの?」
「えーーー。ないでしょ」
「なんで?」
「だって私だよ?バイト中頼りっぱなしで、なんなら面倒なこと押し付けちゃってたし。
私だったらないわ~ってなるわ」
「あーーーー。でもいいと思うけどな~」
「だから仮に私が良くってもあっちがないんだって」
「そう~?けどなんかあったら教えてよ!」
「まぁないと思うけど」
それからさおりの話を聞いていたら、あっという間に駅に着いた。
「あ、じゃあ」
「え、乗らないの?」
改札前で「ここで」っていう私に、首をかしげられる。
「あ、うん。今日黒尾さんとご飯食べに行く約束してて、駅で待ち合わせてるから」