第5章 食事へ.2
「佐藤~。ちょっと」
「はい」
黒尾さんに呼ばれる。
「このデータなんだけど、まとめるのお願いできる?」
「わかりました」
「じゃ、データ送るからよろしく。あと…」
こちらの様子を伺うような黒尾さん。
「今日……?」
「そう」
「今度はちゃんと覚えています。じゃ、データお願いします」
少し安心した表情の黒尾さん。
また私が忘れてるかもって、気を遣わせてすみません。
黒尾さんから言われたデータをまとめる作業も午後過ぎには終わり、
今日は滞りなく定時を迎える。
「あーーー!今週も頑張ったーーー!」
隣で大きく伸びをするさおり。
「ほんと。昨日までお互い残業お疲れ様でした!今日はもう帰れそう?」
「うん!てか今から何か頼まれても帰る!今日デートなんだもん♩」
「そうなんだ!誰と?」
「この前の合コン!覚えてる?ユウキくん!」
「えーっと?」
ええっと?
「最初私の前に座ってた人!
てか奈々は?アキノリくんだっけ?あの後どうだったの?
それよりとりあえず出よ!」
今週はスタートから忙しくて、休憩時間も合わなかったし、結局さおりとはあれきりだった。
フロアに挨拶をして一緒に出る。
「で、あの後どうだったの?!」
「飲みに行ったよ。久しぶりで楽しかった!」
「で?!」
「え、なんもないよ」
「えーーーー」
つまんない!って後に続く。