第68章 その後.2
「よっと!」
「…ぅわっ!」
突然抱き抱えられて、思わず声が出た。
「いつまでもここじゃあな?」
部屋に入ったはいいものの
ずっとドアの近くにいた私たち
「黒尾さん!重いです!」
「重くないし、むしろ痩せてない?」
………………。
「それは、そうかもしれないです」
去年の夏から数々のストレスのおかげで激痩せした。
だいぶ戻ったけど、それでもまだ。
「それって…………」
「黒尾さんのせいです」
「………マジか」
ちょっと意地悪
「嘘です!仕事です!
でも今は本当に楽しくやっているので、ご安心ください」
「それはそれでな~」
ちょっと残念そうな黒尾さんに
思わず笑っちゃった。
「もちろん黒尾さんが別れるなんて言うから。
だいぶ落ち込みましたよ?」
「いや、ソレ俺?あとホントに?」
「黒尾さんのせいです!
あと私の落ち込みっぷりを信じてくれないのなら
アキくんに聞いてみてください?」
こうやってまた、冗談を言い合える。
ダメだ。
これだけでもまた、泣きそうだ。