第1章 はじまり
高校の頃から付き合っていた人がいた。
何年?
数えなきゃわからないくらいの年数を一緒に過ごした。
そして、1ヶ月前にプロポーズをされた。
左手の薬指に、指輪をはめてもらって。
ずっと一緒にいるから、いつかは結婚するんだろうなって思ってたけど。
いざ、その言葉を聞くと嬉しくて
涙が溢れた。
だけど、1週間前。
取り消したい。
別れてくれ、って。
何を言われているか、わからなかった。
これから一緒に住む部屋を探してて。
あの辺がいいとか。
子どももほしいから、最初から2LDKで探そうとか。
一緒に話してたのは夢だったのかな?って思ってみたりしたけど
スマホのブックマークには、それが残っていて。
あれ?やっぱり夢じゃないよね?って。
なんで?って聞いても、ごめんってしか言わない。
「ごめん」の言葉が重なるたび、私の心は壊れていって。
泣き叫んで、物にまであたる私についに観念したのか。
「好きな人が、できた」
その後のことはよく覚えていない。