第68章 その後.2
長く、深い口付けに
私の頭は酸欠状態。
そして、大好きだった黒尾さんの香りにも
どうしようもなくクラクラする。
大好きな香り
この香りは、黒尾さんだけのものではないけれど
黒尾さんの香りは、黒尾さんだけのものだった。
その香りに、やっぱりどうしようもなくクラクラする。
………………。
「…………ふはっ」
唇が離れて
黒尾さんと目が、合う
「ごめん。我慢、出来なかった」
なぜか申し訳なさそうに謝られる。
「なんで、謝るんですか?」
「涙………」
そっと頬の涙を拭われて
「………ゴメン、俺。
イヤ、じゃなかった?」
…………………。
「…………イヤです」
「………ゴメン」
「そうやって、謝られるのがイヤです。
黒尾さんが、私が嫌だと思ってるんじゃないかって。
そう思われることがイヤです」
黒尾さんの表情から
フッと力が抜けたのがわかった。
「なんで嫌だって思うんですか?
私の方が黒尾さんのこと好きだって伝えてるのに。
あれだけじゃ全然伝わらなかったですか?」
黒尾さんが首を横に振る。
「ゴメンな?お前にばっかり言わせて」
「本当です。黒尾さん、ズルいです」