第67章 その後
「ちょっと待ってて」
そう言ってスマホを触る黒尾さんの横で
言われた通り待つ。
「なぁ。今日はこのまま
一緒にいてくれる?」
「なんで、そんなに困った顔なんですか?」
優しいんだけど、困ったような表情
「困らせてるなら、ちゃんと言ってほしいです………」
相変わらず、自分のことばっかり。
一年前と何も変わらない自分に幻滅する。
「んーん。困るわけないじゃん。
だけど、今この時間が夢だったらどうしようって。
そういう意味では、困ってるカモ」
だからちゃんと確認
って。
フッと笑う黒尾さん
「夢じゃ、ないです。
もし夢だったら、私も困ります」
「そっか。よかった」
その後、また少しだけスマホを触る黒尾さんを待って
「こっち」
手を、引かれる。
黒尾さんの大きな手
ダメだ。
やっぱり涙が、止まらない。