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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第67章 その後


一度溢れ出した涙はなかなか止まらない。





一年分



我慢した黒尾さんへの想いが溢れ出る。





そんな私が落ち着くのを




ただ黙って




黒尾さんは待っていてくれた。





私の涙がようやく止まって


いつの間にか済まされていたお会計にお礼を言い

二人で外へ出る。





金曜の夜の繁華街



店内もガヤガヤと煩かったけど

外も同じくらい騒がしい。





「どうする?」





どうする?と聞かれたら





………………。





「とりあえず。今日は帰るか!」





何も言わない私への、黒尾さんの言葉





まだ、涙が溜まったままの私の目は

相変わらず下を向いたまま。





「…………帰るん、ですか?」



「もう一杯、飲む?」





黒尾さんの、優しい声





黒尾さんのスーツの裾を、キュッと掴んで



ふるふると首を横に振る。





「…………ふたり、だけで」



「ん?」





私の声は、まわりの音にかき消されたようで。





ただ、一度絞り出した言葉をもう一度声に出すのは

なんだかとても気恥ずかしくて。





だけど、このまま


帰りたくない。




黒尾さんと、もっと一緒にいたい。





黒尾さんに、今度はちゃんと


届くように。




背伸びをして





「二人だけで、いれるところがいいです」





相変わらず、小さな声を出すだけで精一杯だったけど。





少し驚いた表情で

私を見ている黒尾さんと目があって




だけど今度はちゃんと


届いたようで。
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