第66章 答え合わせ
たった今運ばれてきたアルコールを
とりあえずゴクゴクと
半分くらい飲んで気合を入れた。
「………黒尾さん」
「ん?」
「黒尾さんは、お互いの誤解が解けて。
よかったと思いますか?」
「ウン。もちろん」
そうですか………
でも
「………それだけ?」
私は、それだけじゃ足りない。
また、
黒尾さんの隣にいたい。
「奈々は?」
質問したのは私なのに。
質問で返す黒尾さんはズルい。
だけど、覚悟を決める。
「私は……………」
言葉が詰まる。
私はこんなに緊張しているのに
目の前には、余裕のある
大人の表情の黒尾さん。
結局、私ばっかり。
だけど、それでもいい。
もう、なんだっていい。
「黒尾さんのことが、好きです」
ガヤガヤとうるさい店内
震える声は
果たして黒尾さんに届いているのか。
「だから、黒尾さんと
一緒にいたい、です」
ガヤガヤと周りの雑音だけが響く。
黒尾さんからの返事はない。
聞こえ、なかったのかな。
だけど、今の私の
一生分の勇気を持って絞り出したその言葉を
もう一度言葉にする勇気は
もう残っていなかった。