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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第66章 答え合わせ


グラスの中の残りを、また一気に


今度は飲み干す。





「…………なくなったので、帰りますね。

今日はお時間ありがとうございました。

あ、お金………」





そう言いながら、バッグの中から財布を取り出そうとする。




けど





「いや、ゴメン」





黒尾さんが謝ったのは、




たぶん。



立ち上がった黒尾さんの長い腕が伸びてきて


財布を取り出そうとする

私の右腕を突然掴まれたから。



だと、思う。





「………いえ」





黒尾さんの手が離れる。





「もう、時間………」





黒尾さんの言葉は中途半端に途切れたけど



たぶん、帰らなきゃいけないのか?

ということを聞きたかったのかな?と。




いや、別に時間なんていくらでも


は言い過ぎだけど。



でも明日は土曜日



もちろんこの後の予定も制限もない。





「………時間は、大丈夫。です?」



「…………ほんと?」



「はい………」





ただ、私からもう話すことはない。





ズルいけど、



黒尾さんと、私が望む結末に辿り着けないのであれば



傷つく言葉は聞きたくない。





だけど、




それでも。





特別な関係じゃなくっても。





黒尾さんと一緒にいたい

と思ってしまうから。





…………。





恋愛は勝ち負けじゃないというけれど




やっぱり、惚れた方が負けなんだなぁと。



26にして初めて学ぶ。





私たちのキッカケは黒尾さんだったけど。




だけど、いつからか



私の方が気持ちが大きくなっていたと思う。





「………よかった」





眉を下げながら、口元を上げて。




そんなことを言う黒尾さんは

よく、わからない。





「何が、よかったんですか?」



「まだ、返事。

してないから」





………聞こえてたんだ。





黒尾さんから "返事" と聞いて



心臓がギュッとなる。
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