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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第63章 過去(黒尾)


「………なん、で?」





俺の言葉に、また止まった涙が

ボロボロと溢れる奈々を


見て、いられなかった。





「さっき、急に決まって」





今週末は大丈夫だと思っていた。



というか、こっちに来る時

課長に何も言われないように、


ほぼ完璧に終わらせてきた。




だけど、ソレわざわざ週末に休日出勤してまで

やる必要ある?ってことを言われて。




いや、どう考えても月曜で

いや、なんなら火曜でもいいだろって。





だけど俺は



それを言葉にできなかった。





「…………久しぶりに、黒尾さんと一緒に、過ごせるの。

………楽しみに、して、た、のに」





俺だって。




だけど、こんなことを言ってもしょうがない。





「…………先週も、でしたよね」



「…………ごめん」



「………黒尾さん、本当は私と一緒にいたくないんですか?」



「は?」



「…………だって、約束。破ってばっかり。

私はこんなに一緒にいたいのに。

黒尾さんは、そうじゃないんですね」



「違う。そんなわけない」



「…………じゃあなんで先週も今週も?!」





…………………。





上司からの指示を拒否してまで

残る勇気がなかった。



どーしようもない自分に、心底幻滅する。





だけど、今

奈々が言ったことに間違いは無いから




何も、言い返せなかった。





「ほら、やっぱりそうなんじゃないですか?!」





違う。




だけどどれだけ否定しても



それだけ。






明日の朝、向こうへ戻るということをやめる決断は




どうしても、できなかった。
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