第62章 6月中旬(待ち合わせ)
喉まで出てきて、飲み込んだ。
ヤバい
生理前の私は、本当に何を言い出すかわからない。
「お待たせいたしました~。サラダです」
無言の私たちの間に運ばれてきたサラダ
お皿を取って取り分ける。
そんな私を黒尾さんが見てる。
「佐藤はさ、今彼氏とかいるの?」
は?
何か言わなきゃ、と思って出た言葉かもしれないけど
けど
……………は?
「いや、いませんけど」
あなたと別れてから、ずっと
あなたのことが好きでした。
だけどそのことは、あなたは知らない。
「そっか」
「黒尾さんって、結構残酷なんですね」
「え?」
……………。
「聞きたくないけど、聞かなきゃいけない流れだと思うので。
空気を読んで聞きますね。
黒尾さんはその後彼女と順調ですか?」
息吐く暇なく
ただ、言葉を吐き出した
「は?いないけど」
「………別れ、たんですか?」
「………佐藤とな?」
「いや、じゃなくって。その後」
「いや、いないけど」
………え?
なんだろう。
とりあえず、話が噛み合っていないことだけは
なんとなくわかる。
そしてそれは、黒尾さんも。