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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第62章 6月中旬(待ち合わせ)


当たり前だけど、涙はなんとか堪えた。





黒尾さんが連れてきてくれたのは居酒屋



まわりのガヤガヤとした音に

なんとなく、いろんな気が紛れる。





「お疲れサン」



「お疲れ様です」





グラスの響く音に、

こんなにも気まずさを感じたのは初めてかもしれない。





「………仕事どう?

ってこれはこの前聞いたな」





ハハッ、と

やっぱり少し困った顔で笑う黒尾さん





「けどさ、今赤葦と一緒にやってる仕事、

佐藤が考えたヤツなんだろ?

ちょっと赤葦に聞いたけど。

すごいな。頑張ったんだな」





本当に、大変だった。





"誰かに認めてもらいたいわけじゃない"


"これは仕事だから"



なんてカッコつけたようなことを思いながら仕事をしてるけど。




だけど、やっぱり認めてほしい。



ちゃんと、見ててほしい。




そして、それを一番望んでしまうのは


入社した時から3年間

ずっとお世話になった、上司の黒尾さん。




最初は何もできなかったけど


もう一人で大丈夫です。って。

これだけのことが、一人でできるようになりました。って。





最後



あなたに対して当たってしまったけど



もう、大丈夫です。




って。





「………ありがとうございます。

黒尾さんも、福岡。お疲れ様でした」



「ウン。最初は大変だったけどな。

だけど、後半はどうにか上手くやれてたと思うよ」



「………よかった」





弱っていた黒尾さんを覚えてる。



だから、黒尾さんの言葉にホッとする。





「佐藤の今の仕事って、期限とかあんの?」



「最初はとりあえず一年って言われてましたが、更新してもらえるみたいです」



「そっか。相変わらず一人でやってるんだよな?」



「はい。でももう慣れました。

今は仕事、すごく楽しいです。

だから更新って言ってもらえてホッとしたし、嬉しかったです」



「そっか。安心した」





"安心した" って。



それは、何に対して?





「黒尾さん」



「ん?」





まだ1杯目のお酒は半分も減っていない。





だけど、今日



これ、だけは
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