第62章 6月中旬(待ち合わせ)
金曜日の仕事後
赤葦さんとの待ち合わせ場所に到着
ただ少し前に赤葦さんから連絡があり
【少し遅れそうです。】
と。
きっと、私以上に忙しい赤葦さん
仕事忙しかったのかな~。
今日ほんとに大丈夫だったのかな~。
無理させたんじゃ~。
って少し心配になりながらも、
やることもないからそのままその場で待つことに。
週末の夜の繁華街
道ゆく人も、
そして私と同じように待ち合わせだろう人も多い。
あれから人間観察は少し苦手に。
嫌な思い出と
そしてどうしても幸せそうな人たちを、羨んでしまう。
性格良くないな~って思うけど
まだまだ余裕のない私には、まぁまぁな修行。
プラス生理前であまり機嫌と調子も良くない。
だから、こういう時はひたすらスマホを見て過ごす。
「オネーサン。待ち合わせ?」
…………。
あーーーーもう。
鬱陶しいな。
こんな会社帰りの萎びたOLに声かけないでよ。
だけど、一向にその場を動こうとしない
そしてなんとなく。
聞き覚えのあるような声の主を一瞥すると
「よっ」
「………え。お疲れ様です」
怪訝そうに見てしまった私に
少し困ったような顔で、ヘラッと笑う黒尾さん。