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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第39章 8月


「……ハッハッハッ……………」





呼吸が浅くなる。





息が、できない。





見間違いだと思いたかったけど



あんなに背が高くて、黒尾さんにそっくりな人は、




黒尾さんじゃん。





なにより、


赤いネクタイ




だけど、私がバレンタインにプレゼントしたものじゃない。





それより前、よくつけていたネクタイだったから



よく、覚えてる。





そして、カップルだと思ったのは



男の人が女の人の肩を


抱いていたから。





女の人は、小柄で髪が短くて幼い可愛い感じの人で





……………はっ。





私と真逆じゃん。





無意識に右手が首元にいく。



ホワイトデーに黒尾さんにもらったネックレス。





その日から、毎日一緒に過ごしてきて



いつの間にか、困ったことや辛いことがあると



ネックレスを触る癖が付いていた。





特に先月



何度、助けてもらったことか。





"一人じゃない" って





そう、自分で自分を励ましながら

なんとか乗り越えた1ヶ月。





ただ、



一人じゃないって思ってたけど




どうやらそれは間違っていたみたい。





今、右手が触れているのは



ただの金属に過ぎない。





だけど、さらに呼吸は浅くなって





気付いたら、駅のホームに立っていて





目の前に止まった

いつも乗る電車に、流されて乗っていた。





そして、周りの異様な視線。





金曜の夜



まだまだ人が多いこの時間帯に


人目も憚らず涙を流すヤツがいれば、まぁそんな目で見るよね。





わかる。





だけど、申し訳ないけど



それを隠したり拭ったりする余裕なんてない。





そして、ポケットの中でずっと震えているスマホ





気付いてる。



だけど手が震えて




ようやく取り出したときには、


アキくんからの何件もの不在着信。





【急遽ができました。ごめんなさい。】





やっとこれだけ送信して







また、泣いた。
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