第38章 7月(月末)
あっという間に7月も月末に
担当を任された業務がスタートしてもうすぐ1ヶ月
こんなに濃く、ある意味何も覚えていないような1ヶ月は初めてだった。
一言で言うと、疲れた。
そして、あれ以来、
黒尾さんには会えていない。
連絡も取らないわけじゃない。
だけど、相変わらず忙しくて。
朝まで仕事をしたり
それ以外は終電、という生活は落ち着いて
だけど、本当に相変わらず
毎日毎日、面白いくらいにストレスフルな日々。
そのストレスは積もり積もって
帰っても起きていられない。
必要最低限の生活。
だから黒尾さんと時間が合わなくて
数日単位でメッセージのやり取りを行っているだけだった。
だけど、それが出来ているからいいんだもん。
ちなみに "あの日"
黒尾さんと最後に会った日
私が黒尾さんに
酷い言葉を投げた日
結局終電には乗れなかった。
終電前、黒尾さんがフロアに一人残る私のところに来てくれて
俺もこのまま残るって言ってくれたけど
無理やり帰ってもらった。
明日の飛行機のために、
黒尾さんは荷物を取りに帰らなければいけないでしょ?って。
そして
黒尾さんを見ると。
全てを投げ出して、
仕事辞めたいです
って。
その言葉が喉まで出てきて。
ただ、それを言葉にしてしまうと
もう、本当に全てを投げ出してしまいそうで。
ただそれを飲み込むので精一杯で。
だから、パソコンのディスプレイだけをじっと見て
手を止めることなく
「お疲れ様でした。
帰り、お気をつけて」
と。