第37章 7月(会議室で)
「………じゃあ、どうするんだよ」
「………どうも、しないですよ。
とりあえず、明日の朝までに終わらせなきゃいけないから。
戻ります。ほんと、すみませんでした」
「明日の朝って。今日、帰れそう?」
「マニュアル1文字も読んでないから、何もわかんないです。
ただ、12時間あればさすがに終わると思います」
もう、自嘲するしかなくて。
笑いたくなんてないし笑えないのに、笑えてくる。
「とりあえず、俺も終電まで残るから」
「いえ、帰れるなら帰っててください。
それで明日のお昼、よければ来てくれませんか?」
明日、起きれる自信はない。
でも、早く黒尾さんに会いたいし
ちょっとでも長く、一緒にいたくて。
「……………………。」
だけど、それに対して黒尾さんから返事がない。
「………黒尾さん?」
「…………ごめん。明日福岡戻らなきゃいけなくなって。
………始発で、帰る」
「え?」
さっきせっかく止まったのに。
また、涙が溢れる。
「マジでごめん」