第37章 7月(会議室で)
「は?」
「課長は、建前的に責任者ですけど
仕事内容に関しては私がやってみて
後から教えてね!っていうスタンスなんで。
だから、今日のメールを見ても、
私がこのことに対して何も知らないことすら知らないですよ」
「お前、それ誰かに言った?」
「………言えるわけ、ないじゃないですか」
言えるんだったらとっくに言ってるし。
「は?なんで?どう考えてもおかしいだろ?
今から部長のとこ行くぞ」
「え?行きませんよ?」
「なんで?」
「なんでって。
言っても何も変わらないからですよ。
むしろ状況が悪くなるだけなので」
言ったところで、私がやるべきことは何も変わらない。
課長は一緒にやるって言ってくると思うけど、
ただ実務知識ゼロの人に手伝ってもらったところで
たぶん、私の置かれている状況は何も変わらない。
でも、絶対部長に告げ口したって思われるから、
私の立場だけ悪くなる。
今その状況が追加されたら。
これ以上の問題を抱え込む余裕は
もうどこにもない。