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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第34章 週末、最終便で(お風呂)


ひとつ、


溢れたら




堰を切って溢れ出す。





「………でも黒尾さん、なかなか話してくれなくて。

でも無理やり話してほしいわけじゃないんです」





でも、黒尾さんが話してくれないってことは

やっぱり私じゃ頼りないってことですよね。



という最後の言葉は飲み込んだ。





………私は何を言ってるんだろう。



"黒尾さんのため" だと思って

飛行機に乗ったはずなのに。




いつの間にか、主語が私に変わっていた。





いつもいつも、気づいたら自分のことばっかり。



こんな自分が本当に嫌いだ。





「お前がこんなに心配してくれているのに、ゴメンな。

心配させるようなことを言うだけ言って、

でも肝心なこと、伝えてなくて」



「ううん。私が、ごめんなさい」





本当に。





「んーん。俺がちゃんと、もっと早めに状況伝えるべきだったんだよ。

ただ、お前の前では "カッコいい黒尾さん" でいたくてさ。


本当はこんな情けない姿なんて見せたくなかったし、

そしたら、幻滅されるんじゃないか、とか。


………奈々が離れていったら、どうしよう、とか。


………そうなったら、それこそ立ち直れねーなぁ。とか」





今度は黒尾さんから、



ポツリ




ポツリと




少しずつ黒尾さんの気持ちが溢れてくる。





「だけど、結局こんなに心配かけて。

ほんと、どーしよーもねーよなぁ」





困ったように笑って


なぁ、こっちきて?って

黒尾さんに呼ばれて。



黒尾さんの胸に、背中を預ける。





黒尾さんが話してくれたのは


今の上司がまぁまぁ、というかだいぶん厄介な人で、

それでダメージを受けているということ。



元々そういう人だとは聞いていたそうで

だから、ある程度は覚悟していたみたいだけど、

だけど、想像以上に酷いようで。



そして、6月から2ヶ月間

東京の仕事と掛け持ちすることになったことも面白くないらしく、


今月に入って、さらにエスカレートしているらしい。





「こういうの、大丈夫だと思ってたんだけどなぁ。

だけど、俺たちが想像できないような人が存在するんだってことを知りました」
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