第2章 食事へ
定時になって、荷物をまとめて。
黒尾さんの方を見ると、課長と話してる。
「お疲れ様でした~」
挨拶をしてエレベーターに乗る前にお手洗いへ向かう。
とりあえず最低限のメイクは直して。
というか直帰予定だったからそもそも最低限のメイク道具しか入っていない。
うーん、女子力。
けど別に飲みに行くだけだし。
お手洗いを出てエレベーターを待っていると。
「あ、お疲れさん」
「あぁ、黒尾さん。お疲れさまです」
「さっき出てなかった?」
「あ、ちょっとお手洗いに」
ちょうどきたエレベーターに一緒に乗り込んで。
まわりの流れにのって会社を出る。
「結局一緒に出ることになって、なんかごめんな?」
「いえいえ、全然大丈夫です。あ、今日何系ですか?」
「イタリアンか居酒屋、どっちがいい?」
「じゃあイタリアン!」
「イタリアン好き?」
「大好きです!」
「俺も。けっこう美味いから楽しみにしといて」
会社の最寄駅から二駅先で降りて。
黒尾さんがよく行くらしいお店は、コンクリートが打ちっぱなしの小洒落た外観のお店だった。
店内もコンクリートの打ちっぱなしで、少しだけ照明が落としてあって、素敵な雰囲気。
「黒尾さんってこんなとこ行きつけなんですね~。お洒落ですね~」
めちゃくちゃ小並感満載だったけど、正直な言葉が出てきた。