第31章 二人の週末
「俺もいないしな~。
公表して行けばよかったわ」
……………。
「じゃあ、黒尾さん帰ってきたら公表してくれますか?」
勇気を出して。
「(名前)がいいならしますヨ?」
………勇気出してみてよかった。
すごく、嬉しい。
「じゃあそんな感じで。
あ、ちなみになんですけど」
「ん~?」
「黒尾さん、タバコ吸いました?」
沈黙
「……………ん~?」
「別に吸ってもいいと思いますよ?」
やめてほしいと言ったことはあるけど、
絶対に吸わないでって思ってるわけではない。
「…………来る前に吸いました」
「ですよね?久しぶりに黒尾さんからタバコの匂いしたんで」
「………ッだーーーー!根性ねーよなァ」
そう言いながら項垂れてる。
「でも本数減ってるんじゃないですか?」
この前まで、私と会っている時は吸わないし
私と会う前も吸ってなかった。
「3月までは、ほぼやめてた。
けどあっち行ったら、なぜか吸ってしまいました」
「3月までやめてたって、めちゃくちゃ凄くないですか?」
「だよな~?けど結局吸ったら意味ないよな~~~」
「新しい環境だと気を遣ったり、いろいろなストレスあると思います。うん。
ただ、ほどほどにして下さいね?」
「俺の健康のためを思って?」
「そうです」
「じゃあ "やめて" って言ってくんない?」
意外な言葉。
「いいんですか?」
「ウン。奈々に言われたら頑張るしかないし」
黒尾さんは眉を下げながら。
私はちょっとだけ
いいのかな?なんて思いながら。