第27章 無事に(帰宅後)
………いつもより足元が少しふわふわするけど。
でもまぁ、まさに今お酒飲んでるし
なにより家だし、たまにはいっか。
お風呂入っててよかった。
「そういえば課長って、日本酒好きでしたよね?」
「ウン、そうよ」
「今度みんなで飲む時、いろいろ教えてもらおっかな~」
「いいんじゃない?」
「そうします!
てかお鍋と日本酒ってめちゃくちゃ合いますね!」
「だな~」
「………黒尾さん、なんか怒ってます?」
なんかちょっと、変。
「怒ってませんヨ?」
「ほんとに~?」
「妬いてるだけですぅ~」
「お餅ですか?」
「え?」
「ヤキモチ?」
そう言いながらほっぺを膨らませてみる。
「……ねぇ、お前もう酔っ払ってるの?」
「わかんないです」
「わかんないって言うのは、酔っ払いだなぁ。
まぁいいや。ほら、ちゃんと食べないと。酔いまわるぞ?」
「はーい」
黒尾さんによそってもらって
お腹も空いてたから、まだまだ食べれちゃう。
「なんか、今までも仕事の達成感?
みたいなのはあったんですけど。
だけど、自分が一応責任者として取り組んだ仕事の達成感って、なんかすごいですね」
「ね?仕事って基本大変なことが多いし、
ていうかたぶん大変なことがない仕事ってほとんどない気もするけど。
だけどそういうのを感じたくて、頑張ったりするんだろーなぁって思うよ」
「ほんとにそんな感じです。
それに今回黒尾さんが付いてくれて、そして上司で、
本当にありがたいし、恵まれてるなーって。改めて思いました」
「俺も。教えた分だけ、というかそれ以上に応えてくれるお前は、本当に育て甲斐があったよ」
「そうですか?これからもよろしくお願いします」
「………こちらこそ」
なんだか最後、少し歯切れが悪い気もしたけど
だけど、尊敬している上司にそう言ってもらえて
素直に嬉しかった。