第27章 無事に（帰宅後）

「すみません。お待たせしました」


「いーえ。こちらこそ準備ありがとう」


「いーえ。どういたしまして。

あ、何飲みますか？ビールでいいですか？」





冷蔵庫を開けて





「ウン。ありがと」





黒尾さんのビールと





「なにソレ？」





私の手の中のもう一つの瓶。





「スパークリング日本酒？です！

黒尾さんも飲みますか？」



「じゃあ後でもらおっかな」





グラスを二つ準備する。


とりあえず黒尾さんはビールで乾杯。





「初担当、お疲れ様」



「本当にありがとうございました。

黒尾さんがついてくれたので、落ち着いて仕事ができた気がします」





そう言いながら頭を下げる。





「そーお？次は俺がいなくても大丈夫よ」



「早く一人前になれるように頑張ります！」



「楽しみにしてマス」





そう言ってもらえて、素直に嬉しい。



お鍋を食べながら、会社では言えなかった

今回の仕事のアレコレを聞いてもらう。



とにかく何度も言うけど、

無事に終わって本当によかった！




肩の力が抜けて、お鍋もお酒もいつもより

より美味しく感じる。





「あー！美味しい！」





今日初めて買ったスパークリング日本酒も

クセがないから、カクテルみたいにスイスイ飲める。





「え、てかこれどうしたの？初めて見たけど」





今日突然日本酒が出てきたから？


いや、だよね。





「この前アキくんと飲んだ時に教えてもらって。

日本酒って飲んだことなかったんですけど、すごく飲みやすくて！

だから今日買ってみたんですけど、これもすごく美味しいです！」



「へぇ～。ちょっともらうね」



「はい！どうぞ！」





2本目のビールを飲み終わった黒尾さんにも





「あーーーウン。

これ気をつけないとめちゃくちゃ酔っ払うやつじゃん」





瓶を眺めながら、たぶん度数を確認して





「ちなみにちょっと大人になろうかなって思って、普通の日本酒も買ってみました！」





取ってきますね、って言って

冷蔵庫に取りに行く。