第25章 ウェディングドレス
思わず立ち止まる。
そんな私に、手を繋いでいた黒尾さんも
一緒に立ち止まってくれて。
なんだろう。
数ヶ月前の私は、近い将来着る予定だった
意外と身近なものだったんだけど。
とりあえず、今の私にすぐには関係ないもの。
そして一時期、
といかあの時期?(笑)
見たくないものだったんだけど。
今はまた、素直に綺麗だなって思えて
いつの間にか、憎くて憎くてしょうがないものじゃなくなっていたことに
こっそり感動。
ショーケースに飾られているのは
プリンセスラインの可愛くて華やかなドレス。
そして入り口の先の店内の目立つところに飾ってあるのは
マーメードラインのドレス。
プリンセスラインも着てみたいけど
せっかくこの身長なんだから、マーメイドラインにも憧れる。
「ドレス?」
「………はい。中のドレスもすごい素敵」
私の視線の先にあるものを、黒尾さんも一緒に見てくれる。
やっぱり、いつかは着てみたい。