第25章 ウェディングドレス
「………映画の時間もあるし、行こっか?」
「あ、はい」
黒尾さんは、何もおかしなことは言っていないし
別に普通のことを言っている。
だけど
なんだろう
チクリ
胸の奥の小さな違和感。
いつもの黒尾さんだったら
見る?って聞いてくれていたと思う。
それに、映画の時間は決まってはいるけど
まだ時間は余裕もある。
だけど、そう言ってくれなかったのは
私がみていた "ソレ" が
ウェディングドレスだったから?
………私は
これからもずっと黒尾さんと一緒にいたいなって思っているし
それは
今じゃなくても、いつか
"結婚"
出来たらいいなって。
あんなことがあった後だけど
黒尾さんとのそんな未来を考えてしまっていて。
だけど
黒尾さんは
違うのかもしれない。
「映画、楽しみですね!」
「うん。あれだけCMしてたら、見とかないとね~」
大丈夫
黒尾さんとは結婚を約束したわけじゃないじゃん。
今、一緒にいれるだけで十分じゃん。
勘違いしちゃ、いけない。