第24章 準備
「だってお前、昨日男と二人で飲み行くんだもん」
「え?」
思わず目を丸くする。
「んーーーーー。束縛かもって自覚ある上で言いマス。
今までの元カノにそんなこと思ったことなかったけど、
お前が俺の知らない男と二人で飲みに行ってて、昨日気が気じゃなかった。
奈々のことは信じてるけど、でも、なんか嫌だった」
バツが悪そうな顔でそう言う黒尾さんにまたびっくり。
「でも、友達ですよ?友達っていうのかもわかんないですけど」
「たぶん俺、俺の知らない奈々を知ってるソイツに
ヤキモチ妬いてるのかも」
はぁ。って片手でおでこを支えながら項垂れる黒尾さん。
「黒尾さん、そんなこと言ってくれるんですね」
「え?」
「こんなこと言われたの初めてです」
「イヤじゃ、ない?」
「別に嫌じゃないし、むしろそんな風に思ってくれてるんだ~って思いました」
ふふふ
なんだか嬉しくて、思わず笑みが溢れる。
「………ねぇ、もっかいキスさせて?」
「ダメです」
会社でこんなことしちゃダメです!
「えーーーーー。俺のこの抑えきれない奈々への気持ちの行き場は?
このまま仕事して帰るの?」
「………じゃあ、一緒に帰っていいですか?」
黒尾さんの家に仕事着一色置いてある。
「まじで?いいの?」
「そんなこと言われたら、私も黒尾さんと一緒にいたいし」
「………とりあえず11時になったらすぐ出るぞ。
それまで仕事します」
「そうしましょう」
「………ねぇ、やっぱりあと1回だけダメ?」
「ダメです」