第24章 準備
キスされた
それもまぁまぁ長い
「………ちょっと!なにしてるんですか!」
我に返って慌てて黒尾さんの胸を押し返す。
だけど残念ながら、私の力じゃ黒尾さんはビクともしない。
「目ぇ覚めた?」
左の口角だけを上げるその顔。
「…………!」
動揺しすぎて何も言えずにいたら。
「まだ足りなかったカナ?」
とどめのもう一回。
抱きしめられたまま
………こんなの会社でするキスじゃない。
いや、そもそも会社じゃキスなんてしないわ。
「どう?」
「朝まで起きてられそうなくらい、ビックリして目が覚めました」
「そりゃよかった」
いやいやいや、何がいいのかわからない。
「黒尾さん。ここ、会社ですよ?」
「誰もいないし、万が一誰かが戻ってきた時のために移動もしたし」
「そういう問題じゃなくて」
「栄養ドリンク飲まずに済んだじゃん」
「そうですけど」
でもやっぱり、そういう問題じゃなくって!