第24章 準備
2月は全体的に閑散期で、社内で残業する人は少ない。
私も少し前まではまではほぼ残業してないし
やってもわりとすぐに帰っていた。
だけど、今回初めての担当。
2月後半から2週間だけだけど、最大限の準備を整えて臨みたい。
"前準備8割"
入社してすぐに上司に言われた言葉。
できているかどうかは別として、
ずっと大切にしてきた言葉。
ただ毎回らしいけど、スタートだいたい3日前とかにしか
資料やらなにやらが送られてこないらしい。
もう少し早く送ってよ~!
って思うけど。
クライアントからすれば、毎回のこと。
今回担当する私が初めてだなんて関係ないし。
とりあえず過去の依頼内容は確認済み。
で、今回の内容が今日届いたから、今日からが頑張る時。
「(苗字)さん、ごめん。先帰るわ。
無理しすぎないようにね」
「あ、はい。ありがとうございます。お疲れさまでした」
「黒尾さんも。すみません、お先に失礼します」
「おー。お疲れサン」
退社する先輩に挨拶をする。
時刻は22時過ぎ
あとフロアに残っているのは、私と黒尾さんだけ。
「黒尾さん、すみません。
終わられたら先に帰って下さいね?」
「まだまだ仕事があるので帰れまセーン」
今回、私のサポート役の黒尾さん。
基本的にサポートは始まってからだし、
そして準備段階で質問があっても
業務時間内でたぶん事足りると思う。
だけど、一緒に残業してくれている。
私の比にならない仕事量を抱えている黒尾さんではあるけれど
昨日までは黒尾さんもそこそこの時間には帰っていたから。
なんだか申し訳ない。
スミマセン。
だけど正直、一人じゃ心細いと思う。
だから黒尾さんがいてくれて、実はホッとしている。
資料とPCの往復を数時間
やらなきゃいけないことなんだけど
…………眠い。
「ふぁ~~」
「大丈夫~?」
小さなあくび
なのにそれに気づく黒尾さん。