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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第1章 はじまり


「これ、あとどのくらいで終わるってみてた?」


「えーっと、1時間、くらい?」



ここでもサバ読んだ。

1時間で終われば、終電なんて余裕じゃん。



「佐藤のもうすぐは1時間?」


「はい……」


「もし俺に気を遣って言ったんだとしたら、必要ないよ。

じゃないとわざわざ直帰予定だったのに戻ってこないし」


「すみません」


「謝らなくていいよ。とりあえずそれ食べて。

よし、二人で30分で終わらせるぞ」


「すみません……」


「だーかーらー。謝るなって。

佐藤は一人で頑張りすぎ。一人で抱え込みすぎ。

これだって本当はまわりを頼ってよかったのに。

どうせ誰にも声かけずに、一人でやってたんだろ?」



今日の依頼を見て思ったのは、私一人で対応できそう。

まわりまで巻き込まなくてよかった、ってこと。


だけど、誰にも相談できずに、本当にこれでいいのかって正直不安だった。



「……すみません」


「……とりあえず今日はもう謝るの禁止な。

ここまでよく一人で頑張りました」



たぶん私の気持ちを汲んでくれての一言。


プライベートは散々だけど

仕事の上司と同僚には本当に恵まれていると思う。



週5日、1日最低9時間は会社にいて仕事をする。

そしてできれば8時間は寝たい。

まぁ、無理だけど。


だけど、むしろ仕事はそれ以上、睡眠もそこそこじゃん。



あれ

人生の大半は仕事じゃないか。


仕事は大変なことも多いけど、おかげさまで本気で辞めたいと思ったことはまだない。

だったらプライベートが充実するより、仕事とその人間関係に恵まれた方がよっぽどいいじゃないか。


サンドウィッチを食べ終わった後、黒尾さんからもらった今日何度もつまんだチョコレートを一口。



なんだろう。


毎日食べてるものなのに

うっかり涙が出そうなくらい、美味しかった。
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