【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第26章 執着
──仰せのままに。
そうして戻ってきたマンションの玄関。
振り向きざまに勢いよく抱きついた私の身体を片腕で難なく受け止めて、反対の手でカチリと鍵を掛けた抜かりのない人。そんなところも好き。
お互いに靴を脱ぐ暇さえ与えず抱きしめあって、腕の中に閉じ込められるのが苦しくなって上を向けば自然と目線が絡まり、次の瞬間には舌が絡まった。
何度も何度も相手の熱い吐息を唇に感じるままにずっと背伸びをしていると、高まる熱と酸欠に足元がふらついた。
はふはふと浅い呼吸を繰り返す私の頭をそっと撫でてもう一度抱きしめられながら問われた。
「リビングに行って休むか? それとも…寝室に行くか?」
問われた意味を惚けた頭で一拍遅れて理解して、また少し頬の温度が上がる。答えを口に出すのが気恥ずかしくて目線で訴えるのが精一杯な私を見てイグニスが私の手を引いて寝室のドアノブを下げた。
寝室に入り、グレイスをベッドのフチへと腰掛けさせる。
そのまま押し倒して事を進めたい気持ちもあったがオレにはその前にやるべきことがあった。
グレイスの身に纏ったよそ行きの装飾を丁寧に外していく。グレイスが選んで身につけた、きっと気に入って大切にしているもの。情事の際に傷んだり、無くしてしまってはいけない。腕時計の革ベルトも余計な皺が出来ないように慎重に。
それに、抱き合う時、極力何の隔たりもない素肌で触れてほしいから。
ただ、オレが贈ったばかりのネックレスはグレイスが身につけているところが見たくてそのままにした。