【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第6章 訪れた変化
「それに、もしかしたらクリスタルだって気が変わって『真の王はグレイス」にする』なんて言い出すかもしれないし?」
重く冷え切った空気を変えたくて、グレイスはわざと明るい声で言った。
「ぷ、何それ。
もしそうなったら僕すっごくかっこ悪いじゃん、ルーナに『僕がやっつける』って約束したのにさ」
その笑顔にほっとして、グレイスも多少肩の力が抜けて表情が和らいだ。
「別にいいでしょ、どっちが選ばれても。
とにかく、きっかけはアレだけど、それくらいノクトお兄ちゃんと同じ覚悟で私もいるんだよって伝えられて…良かった」
「いいのかな? どっちでも? …ははっ。
でもルーナと約束したの僕だし。僕なら出来るって言われたし。
頑張るよ。
…ありがとうグレイス。ちょっと気持ち、楽になった」
昔からよく知る優しさと温かみのあるその表情に、ようやくグレイスも心が落ち着いた。
「どういたしまして。
疲れてると弱気になっちゃうことってあるけど、もう絶対あんな悲しいこと言わないでね…?
ノクトお兄ちゃん…大好きだよ、ちゅっ。
じゃあ…そろそろ、寝よっか?」
「うん、そうだね…おやすみグレイス。
ちゅっ、僕も大好きだよ」
この一連の悲劇は全て自分のせいで、グレイスにずっと謝りたいと思っていたノクティスはそれを口に出せたこと、
そして、グレイスにそれを全力で否定されたことでいくらか救われたような気持ちになった。
だが、自分達の為に失われた命、
それによって顕にされた王家の人間としての使命は変わらない。
まだ一人で抱えるには重過ぎる責任と重圧を支え合うように、
残されたお互いの命を感じあえるように…
小さな二人の兄妹は身を寄せ合って一夜を明かした。