【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
僅かな疑問を感じつつ最初の予告・紹介動画が終わり、いよいよ映画本編が始まった。
冒頭は主人公となる青年が暮らす街の市場から。
生きていく為とはいえ、人の物を盗むというその日暮らしな生活をしている青年。
いつものように街を物色しながら歩いていると、どうにも浮世離れした美しい女性が店先でお金を払えずに困っていた。
それはお腹を空かせた子どもに店頭に並んでいるパンをあげてしまったからなのだが、そんな慈悲深いことをしながらも歯切れ悪く「今はお金を持っていない」と答えていた。
その女性を助ける為に、主人公の青年は得意の盗みの技術で店主を騙しその隙にその女性を連れて駆け出した。
だけど、ただ走って逃げるわけではない。
街中の障害物となりそうなものをヒラリヒラリと飛び越え追手を翻弄し、普通なら臆してしまいそうな高さの建物から建物へと身体一つで飛び移っていく。
こういうの、何て言うんだっけ…あ、パルクール?
いやぁ…見てるこっちがドキドキする…
心臓がゾワゾワ浮き上がる感覚に、堪らず自分のお腹の前に回されているイグニスの手をぎゅっと掴んだ。
「ん? どうした、ドキドキしているのか?
グレイスはいつももっと高い所をシフトで飛んだりしているじゃないか」
「あれは魔法の力使って瞬間移動してるだけで、こんな生身の肉体を完璧にコントロールしてこなす芸当なんかじゃないよぉ…」