【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第21章 新生活
その一点だけ心残りがありつつ、待ちに待った土曜日。
洋服もすごく迷った。
自宅で、しかも料理するってわかってるのにお出かけ用のワンピースもおかしいよなぁ…とあれこれ悩んで
動きやすくて女の子らしさもある、タイトめな春物のニットに、膝丈のチュールスカートを選んだ。
お部屋の最終チェックをしたり、洗面台の前で髪型を直したりそわそわしていると、約束の時間通り、オートロックの呼び出し音が鳴った。
次いで玄関のチャイムが鳴って、緊張しながらもドアを開けると、そこにはダークグレーのTシャツに落ち着いたカーキグリーンのスプリングコートを羽織って、スラリとした長い脚の魅力を存分に引き立てる細身の黒いパンツを履いたイグニスがいた。
(相変わらずシンプルに格好良いんだから…!)
それに、ダークグレーという濃い色のトップスの上で、私が前に渡したシルバーのネックレスがキラキラと光って存在感を出しているそのことが…何とも言えない満足感を与えてくれた。
「いらっしゃい、イグニス! 今日は来てくれてありがとう、上がって上がって!」
そんな邪な感情を抱いていることを悟られないよう明るくイグニスを招き入れてリビングへと案内する。
「こちらこそ、お邪魔させてもらう。
…グレイス、そのスカートふわふわ揺れて可愛いな。
柔らかい雰囲気がグレイスにとてもよく似合ってる」
廊下を歩きながらいきなりそんなことを言われて思わず赤面してしまう。サラッと言ってくるから心臓に悪い。
「あ、ありがとう…。イグニスこそ、全身スタイル良く決まってるよ。
…コート、預かるね。イグニスはソファーに座ってて」
「いや、グレイスにそんなことさせられるものか。ハンガーを借してくれれば後は自分でやる」
そんなこと、ここでは私が家主でイグニスがお客様なんだからそんなこと気にしなくていいのに、きっちりしているイグニスにとってそうはいかないのかな?
何度か押し問答をして結局ハンガーをイグニスに渡して自分でコート掛けにかけてもらうことでようやく落ち着けた。