【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第20章 プロンプト登場! ってね
「…うっま! 何この桃、うっま!!」
小さい頃から両親は忙しくしててジャンクフードを食べる機会が多く育ったオレだけど、それでもこの桃は普通の桃より圧倒的に旨いのは直感でわかった。
瑞々しくて甘くて、それでいてサッパリとした後味で。ケーキに乗せる桃として最高なんじゃないの?
「お、違いがわかるかプロンプト。
これはな、ノクトの誕生日祝いに使いたいからと、城の料理人を通して特別に用意してもらった桃なんだ。なかなか市場には出回らない味と品質だな」
「はー…さすが王族クオリティ…」
そして今の言い方からして、このケーキがイグニスの手作りってことだよね? すごいねぇこの人…ハンドサイズのケーキだけじゃなくて、こんな立派なホールケーキまで作れるんだ。
「わぁ、道理で。美味しいと思った」
驚いたり妙に納得したりと騒がしくしているオレの正面で、驚きというよりも納得という表情で桃を美味しそうに食べ進めるグレイス。
ノクトと同じようにフランクに接してくれるけど、やっぱグレイスも王女様なんだよね〜…。
「グレイスも気に入ったか? ならオレの桃を一切れやろう。
ほら、口を開けて。…あーん」
「えっ!? え…いいの…?
ぁ、ありがと…あーん」
照れくさそうにしながらもイグニスの方を向いて口を開けるグレイスと、その様子を満足そうに見つめるイグニス。
桃がつるりとグレイスの口に収まったところで、イグニスがフォークを持つのと反対の手を顎先に引っ掛け、その親指でグレイスの口元に僅かに飛んだ果汁を拭ってやりながら、
やけに近い距離で「うまいか?」と聞き、それに対してグレイスが上目遣いで恥ずかしそうに口元を手で隠しながら頷いて答えていた。
二人の意識がお互いにしか向いてないっていうのがありありと伝わってくる空気感。あー………こういうの、何て言うんだっけ?
あ、二人だけの世界ってヤツ?
え、これでこの二人付き合ってないって何なの?
グレイスはずっと片思いしてるって言ってたけど、絶対イグニスも気付いてるし何ならその気だよね??
はー…終わった。
オレに芽生えた恋心、超短命だったなぁ〜。
こうしてノクトのお誕生日会は、オレの中にほんのり苦い想いを残しながらも楽しく過ぎていきました、とさ。