【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第19章 未来の王と、その軍師
「あ~…そういうことかよ。
グレイスと話してて何か違和感あんな、と思ってたの、それだわ。
イグニスのことは好きだっつーのに、お前とどうにかしようって話が全然出てこなかった」
「もう六年も前の話になるからな…
あの時ワザと掛け違えたボタンをずっと見ないふりして自分をごまかし続けて…、結局堪え切れなくなって想いを伝えたらこのザマだ。我ながら情けないよ」
「ふん、一国の王子の側近であり、未来の軍師様がザマーねぇな。
んで…今はその覚悟とやらは出来たんかよ」
己の不甲斐なさを失笑を交えながら話していたところに投げられたノクトの問いに対して、声色を一段下げて返事をする。
「もちろんだ。
王子の側近としてノクト、お前を支えることと、
想いを伝えた時点で王女としてのグレイスの立場ごと背負う二つの覚悟はとうに出来ている。
だから、グレイスが王女として他国へ嫁ぐという決心も受け入れているつもりだ」
「そーかよ…」
ノクトが目線を一度テーブルに落として呟くようにそう一言言ってから、再度視線をハッキリこちらに向けて言葉を続ける。
「あのさぁ、これグレイスにも言ったんだけど…
お前もこれからやりてーこととかあったらオレに遠慮すんな、マジで。
グレイスはオレが幸せじゃなきゃ幸せじゃないって言うし、
そんなんオレも一緒だし、
でもってやっぱ…お前にも幸せでいてほしーし?」
「ノクト…!」
「くっそ、恥ずかしーからこっち見んな!
…っと、とにかく! ボタン掛け違えたっつーなら今から六年分全部直して来い!
あいつの気持ちを尊重するのもいいけどよ、小さくまとまってお行儀良くいい子ぶって納得してんじゃねぇ! もっとあがけよ!
自分の国の王女様であり、自分にとっての大切なお姫様をみすみす他国に譲っちまっていーのかよ! 未来の軍師様が聞いて呆れるわ!
お前こそ次期宰相としての自覚を持ちやがれ!!」