【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第18章 父の思い出
お父さんのお誕生日祝いの翌々日。
私はお城のダイニングでお父さんと二人夕食をとっていた。
少し寂しいけど、ノクトお兄ちゃんが一人暮らしを始めてアルバイトもするようになってからこういう機会も増えつつある。
「グレイス、先日のノクトとのダンスは見事だったぞ。
あの先生相手じゃ練習、大変だっただろう?」
「いえいえ、お父さんこそ改めてお誕生日おめでとう!
レッスンは本当に厳しかった~!
でもお父さんも昔あの先生に習ったんでしょ? 信じられないくらい超パワフルだったんだけど…ということで、お父さんもあの先生に負けないくらい元気に長生きしてください!」
「ははは、そうか。それは期待に応えられるように頑張らないといかんな」
食事はそんな明るい雰囲気で進み、そろそろ食べ終わる頃。
「あぁ、そうだ。今日は一つグレイスに話があってな。
スキエンティア、あれを」
「はい、承知しました。
グレイス王女、こちらをどうぞ」
スキエンティアの手元には、上質なカバーがかけられて、二つ折りにされたA4サイズくらいのファイルがあった。
(何かこういうの、テレビドラマとかで見たことあるんだけど…)
訝しみながらも受け取り、中を開こうとすると
「グレイスに縁談が来てな」
というお父さんの声が入ってきた。
「やっぱり!? えっ、でもいくらなんでも早すぎない!?」
私まだ中学生なんだけど! どこのロリコン!?
「もちろん、先方も今すぐにどうこうという訳ではない。
歳もグレイスの二つ上くらいだったかな。
先日のパーティーで美しく踊るグレイスに目を惹かれたそうでな。
お近づきになりたい、まぁそんな程度のものだよ」
「ふぅん…」
表紙を開いて内容を確認する。
国の為になる結婚の覚悟は涙を飲んで飲んで受け入れているので、淡々と写真や経歴に目を通す。
とりあえず、ロリコンって思ったのは謝ろう。
でも、先日のパーティーの私を見て惹かれた、なんて。
どうせ、初めのノクトお兄ちゃんとのダンスだけ見て、その後は早々に他の女性とダンスを楽しんでいたか、
イグニスとのダンスを見て魅力的と感じたならとんでもなく見る目がない人だ。
どっちにしろお断り、だな。