【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第13章 進級
「あぁ…もう。やっぱりあれもこれも全部辛いよ…」
こんなに責任感や使命に囚われずに自分の気持ちと好きな人のことだけ考えていられる性格や立場だったらよかったのに…。
ズキリ、と頭が痛む。
テネブラエを背景にしたあの悪夢は、心にこびりつく程何度も何度も再生され、忘れられない程の爪痕を残してもまだやめてくれない。
自分の命の為に奪われた命に報いるには、自分の命、つまり人生をかけろと言わんばかりの内容。
王女だって一人の人間だと声高に叫びたくなる気持ちの日もあるけれど、こういうことの積み重ねで『ただの一人の人間』ではないと思い知らされる。
もしもこの先…戦略的に機があれば、私は王族としてニフルハイム帝国に身を捧げるべきなのだろう。
私の残りの人生が人質のような形になるとしても、何百年も続いてきた戦争が終わることはもちろん願ってもないこと。
移民に関わる問題も、戦争という根本が解決すればかなり展望は明るくなるだろう。
それに、お父さんも、ノクトお兄ちゃんも魔法障壁に命を削らなくても良くなるということも大きい。
ニフルハイム帝国…
インソムニアから大きく南に下って、ガーディナから船でオルティシエ、そこから電車に乗って乗って、ルーナお姉ちゃんのいるテネブラエも通り越してさらにその先…
「…遠いなぁ」
ニフルハイムに嫁いだら、イギーとはもう二度と会えないかもしれない…
でも、この実らない想いを断ち切るにはそれくらい離れた方がいいのかなしれないな…。
不確かな未来に心細くなって、涙がひとりでに溢れる。
幼い頃から私の傍にいてくれて、情けないところみっともないところも沢山見せてるのに、いつでも私の気持ちに寄り添って支えてくれる。
そんな人にはどうしたってもう一生出逢えない。
会うことすら出来なくなるのはさすがに辛いなぁ…。
でも。
いつかはイギーも誰かと結婚して子どもを授かったりするだろう。それは私やノクトお兄ちゃんが結婚してからかもしれないけど。
ルシスにいて、そんなイギーの姿を見たり、様子を聞いたりするのは会えないことより辛いかもしれない。