【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第11章 ポーション
---また、時期を同じくして、これまでグレイスの専属の侍女は三人いたのだが、その内の一人を務めていた女性が結婚をし、家庭との両立を悩んでいたようだ。
王女専属の侍女ともなれば、公務の際に早朝から身支度の手伝いに呼ばれたり、今後グレイスの年齢が上がれば夜会やパーティへの同伴など、不規則な拘束時間が増えることだろう。
話し合った結果、グレイスが「繋がったご縁は大切にした方が良い、その旦那様のパートナーはあなたしかいないのだから」ということで女性が希望したように退職し家庭に専念してもらうこととなった。
そして、新しい人員を補充する際にグレイスが「新しい侍女は移民の中から選びたい」と言い出したのだ。
これにはレギス陛下も少々驚いたようだが、「ある程度素行のわかっている王の剣の中からなら護衛も兼ねられて良いのではないか」と許可が出た。
そして今日はその新しい侍女兼護衛役の任命式ということで、オレも王子の側近という立場からどんな人物なのか気になり、グレイスと一緒に玉座の間での式に同席させてもらっている。
「ヲルバ=ダイア・ヴァニラ、貴殿をグレイス王女の侍女並びに護衛として任命する」
玉座の間にレギス陛下の声が響く。
玉座に続く階段の下で、ヴァニラと呼ばれた少女にクレイラス様から配属辞令書が渡される。
「ありがたく、拝命いたします」
最敬礼をして受け取る彼女はオレより年齢は一つ上と聞いていたが、見た目には幼く感じた。
「これからグレイス王女のことをよろしく頼む。下がって良い」
そうして退室を促されたヴァニラは「はい」と返事と一礼をし、落ち着いた足取りで去っていく。
住処を奪われた辛さ、悔しさ、度重なる外での戦いの経験などから、見た目にそぐわず胆が据わっているのかもしれないなと思った。