【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第10章 初挑戦
「礼を言われるまでもない。普通のことだ」
気を抜いたら溢れてしまいそうな自分の気持ちを抑えるように努めて冷静にそう返事した。
「そんなことないよーフツーじゃないよ~」と唇を尖らせながらぼやくグレイスの頭をぽんぽんとし、サラサラとした髪の手触りを楽しむ。
「普通さ、少なくともオレにとってはな。
それにしても今日改めて思ったが、自分の作った料理を『おいしい』と言ってくれる人がいるのは嬉しいものだな」
「あ! それ、私もすごく感じたの!
作るのももちろん楽しかったんだけど、その味を喜んでもらえると『また作って食べてもらいたい』ってモチベーションになる!
…ねぇ、もしイギーが時間取れそうだったら、また私と一緒にお料理してくれない?」
遠慮がちに尋ねてくるグレイスだったが、それはオレにとって願ったり叶ったりの提案だった。
「もちろんだ。オレも一人でやるよりグレイスと一緒にやる方が楽しかった」
快諾するオレの顔を見たグレイスが喜び一杯の笑みを見せてくれたことに、自然とオレの心も満たされる思いがした。