【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第1章 はじまり
(あぁ…、本当に可愛らしいな…
これが愛おしいって感情なのかな…)
初めて会った時、当時まだ2歳だったグレイスはオレに対してノクト以上に戸惑った表情をしていたのに。
「イグニスの抱っこ、あったかくて気持ちいい~」
こんなに懐いてくれて、こんなにオレを必要としてくれて。
くすぐったい、とか悪い気はしない、なんて感覚はとうに通り過ぎて心地良くすら感じる。
「イグニス髪の毛さらさら~」
短い腕を伸ばして髪を撫でてくるので、その動きにつられて触れ合っていた互いの頬同士が擦れる。
「ふふ、くすぐったいよグレイス」
グレイスには専属の家庭教師や侍女はいたが、オレのような歳の近い友人と呼べるような女性はいなかった。
近しい家柄に適齢の女児がいなかったのか、いつかどこかへ嫁いで城を出る可能性があるからあえて探さなかったのか…
「や~離そうとしちゃだめ~」
「ごめんごめん、わかった」
理由はわからないが、とにかくいないのであれば、ノクトだけでなくグレイスにとっても心の支えになる兄のような存在になりたい。
いわゆる普通の家庭とは全く違う環境に生まれたのだ、これから色々と苦悩することもあるだろう。
そんな想いを胸に、オレは愛しい妹分のグレイスをぎゅっと抱きしめた。