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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第13章 ノーカウントの数え方※




「スコッチ・・・ヒロは、貴方に呼ばれたあの日、ひなたさんを傷つけたかもしれないと、僕に話してました」
「・・・ッ!」

・・・ヒロ。
スコッチの本当の名前か。

寧ろ傷つけたのは私の方だ。

彼らは同じ公安の仲間という言葉だけでは言い表せない、それ以上のものを感じる。

透さんにとってのそんな人を、私は・・・。

「・・・そんな顔しないでください」

自分がどんな顔になっていたかは分からない。
申し訳なさと、もうどうすることもできない現実に、絶望に近いものを感じていたのは間違いない。

「ヒロは、最初から貴女の中身を見抜いていたんだと思います」

確かに彼は、意外と人の本質を見抜くというのか、隠れたものを見つけることに長けていたと思う。

それはあの日の夜も肌で感じたことだ。

スコッチは・・・優しすぎた。

「最初は本当に貴女があのウェルシュなのか確認すると同時に、何者なのかを探っていました」
「・・・・・・」

確信を持って近づいた訳ではなかったのか。

では、透さんの言う無念を晴らす、とは。

「・・・私の正体は・・・分かりましたか・・・」
「・・・・・・」

声が震えないように、強く言いたかったが。
実際口から出てきたのは、か細く弱々しいもので。

数秒見つめ合ったその時間は、体感数時間のようにも思えた。

「教えて、くれるんですか?」
「・・・ッ」

どちらなのか、という疑問よりも先に。
彼の表情に苦しめられた。

その悲しげな表情を見て苦しくならないはずがない。

言葉を詰まらせる私に向けているのは笑顔だが、今の私にはそれが笑顔には見えなかった。

「敵ではないと思っていますよ」

公安として不甲斐なさを感じているのか、知りたくないと自制を掛けた結果なのか。

今、明かしてしまえばお互いこれ以上苦しまず、無駄な時間を過ごすことにもならない。

・・・お互い、楽になれる。



 
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