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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第12章 LikeはLoveか、別物か




「・・・ッ!!」

地鳴りのような音と共に、突然足場がグラついた。
その数秒後には、頭上からパラパラと小さな瓦礫が落ち始めて。

「プロペラ音・・・」

まだ遠くからだが、僅かにこちらに響いてくる。
奴らだということは嫌でも分かる状況に、音の正体を呟きながら眉のシワが深くなった。

「クソ・・・っ」

前に進めない事に、彼も僅かな焦りからくるイラつきを言葉に出した。

爆弾が遠隔式なら、いつ爆破されてもおかしくない状況だ。
どうすべきかと辺りを見回しながら打開策を考えていると。

「ッ・・・!」

またしても、大きな揺れ。
今度は体のバランスを取るのが精一杯な程で。

姿勢を低くし、咄嗟に頭を守ろうとした時だった。

透さんが私の頭を覆うように抱きかかえ、その身で私を庇って。

「・・・収まったか」

驚いたのか、怖かったのか、自分では分からない。
でも、体はそれ以上動かなかった。

彼の心臓の音がハッキリと聞こえる位置に耳が当てられ、それを聞いているうちに揺れも音も収まっていて。

「すみません」

恐らく、私に触れたことに対する謝罪。
それを伝えた後、彼は静かに体を離して。

「い、いえ・・・ありがとうございます・・・」

まだ触れられることに慣れはない。
でも、嫌だとは思わなかった。

急だった、緊急事態だった。
嫌だと思わなかったことに対する理由はいくつか挙げられたが、それだけではない事は私でも分かった。

・・・それ以上に、離れるのが寂しいとさえ思ている自分がいた。

「・・・開けましたね」

辺りには瓦礫や鉄くずが散らばっていて。
そのせいか、月明かりが一部こちらを照らしていた。

「配線も雷管も判別できそうです」

彼の言葉に引っ張られるように爆弾に目を向けると、僅かだが色や線が判別できた。

確かに、これなら・・・。

「・・・いけそうですね」

冷静さを取り戻すよう、自分に言い聞かせるように。
彼に返事をしながら、彼の手から離れた工具を手に取り渡した。




 
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