第12章 LikeはLoveか、別物か
「組織を抜ける、手助けをしてもらったようですから」
・・・そうか。
透さんから見れば、私は赤井さんに始末されたと思っていたはずで。
その真実を知ってか知らずか、ポアロに姿を現した。
まだお互いに組織の人間や、警察だと明かしていないにも関わらず、それを面と向かって尋ねてくるのは、赤井さんが私のことをウェルシュと呼んだからだろうか。
「組織を抜ける際は・・・まあ・・・」
彼らしくないと思いつつも、爆弾解体に動く彼の手を見つめた。
透さんとしては、一体どんな答えがほしいのだろうか。
「組織を抜ける以前は?」
「・・・・・・」
なるほど。
単純に赤井さんとの関係が知りたいのか。
だけどそれは、赤井さんと体や恋人の関係があったのか、それともFBIとして繋がりを疑っているのか。
透さんとしてはどちらの答えを求めているのだろう。
「・・・ありません」
公安相手に、下手な嘘は通用しない。
そんなことは分かっている。
「と、言ったら・・・」
いつか知れる事。
だったら知られたくない方を隠して、一部の真実を話すべきと判断し、回りくどく話を始めようとした時だった。
「!!」
突然、観覧車内の明かりが一気に奪われた。
目の前にある光は、爆弾装置から僅かに光って見える小さなライトのみ。
ある程度形は判別できても、これでは・・・。
「こう暗くては配線の見分けがつかない・・・、もう少しで解除できるというのに・・・っ」
配線の色が判断できなければ、作業を続けることは不可能だ。
暗視スコープは赤井さんが持って行ってしまっている。
ライト系統も、準備が無い。
・・・万事休すか。