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【安室夢】零番目の人【名探偵コナン】

第1章 朝日は終わりを告げた





どうしてこうなってしまったのか。
どこから間違っていたのか。

そう思うことは何度もあったけれど。

今、この男・・・安室透を目の前にして、過去最大にそれを感じる他なかった。



ーーー


約4年前。

私はとある組織で、情報屋紛いな事をしていた。

時にはハニートラップを仕掛ける事もあり、スパイとして相手側に潜入することも少なくはなかった。

でも、私には2つの秘密があって。

その秘密を2つ共知る人物は、ただ1人だけだった。

「あの」
「どうした」

その人物を目の前にしては、緊張感が増して。

「・・・大丈夫なんですか」
「何の事だ」

言わなくても分かっているくせに。
相変わらず、性格が悪い。

「スコッチですよ」
「問題は無い」

薄暗く、月明かりだけが頼りの倉庫裏で、ひっそりと会話は行われた。

互いの表情も見えない。
けれど、存在だけはしっかりと感じていて。

「・・・やっぱり、私」
「心配するな。アイツの事はこちらで何とかする。それまで待っていろ」

そう言って、彼の手が私の頭に乗った。
それを無造作に動かされると、心も同時に掻き乱されるようで。

・・・敵わない。

色んな意味で、この男には。


それから1年程経った頃だった。

スコッチが始末されたと伝えられたのは。

それはライという男の手によって行われた。

始末された理由は、日本の公安からのスパイだったから。

この組織で裏切り者は当然、許されない。
バレれば、待つのは死のみ。

バレなくても、疑いを掛けられた時点で始末する人間もいる。

逃げる事も許されず、ただひたすらに、しつこく、始末するまで追ってくる。

ここは、一度入れば二度と出る事のできない、完璧な檻なのだ。




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