第8章 ※
「えーっと、どちらさん?」
クラスメイトの名前はまだ覚え切れておらず首を傾げる名前を聞くと月島蛍というらしい。ほたると書いてけいと読むのはなんとも可愛らしいじゃないか、と思ったのは最初だけで全然可愛らしくなかった。
向こうは私がバレー選手と知ってたみたいで嫌味のように、いやあれは嫌味なのか。
兎に角グチグチと毒を吐いてくるのだ。
「なんで君はバレーしないわけ?そんなやりたいなら」
「月島くんには関係ないでしょう?」
「隣で自分が悲劇ですって言われたらうざく感じるんだからしかたにでショ」
「悲劇、ねぇ…」
悲劇と言う言葉に少し笑いがこみ上げる。それは純粋な笑いとかじゃなくて、自嘲が入った笑みを浮かべ月島くんを見上げる。
「そーいうあなたも顔に書いてるわよ、自分がださいって」
「っ!」
「バレーの話してるときずっと誰かと重ねているんでしょう?私を。誰かを貶す前に自分のダサさをどうにかしたら?」