第8章 ※
「貴方はもう一度【独裁者】に戻りたいの?改められる機会を得られているのに」
よく考えて行動しなさい、と諭すようにいいカラカラと後方から聞こえる自転車の引く音を耳にして土手を登る。
後ろからは未だ外れることのない視線が背中に突き刺さるけどそんなのは気にしない。
土手を上がったところに予想通りの翔陽がいて自然と笑みをこぼす。
大丈夫、影山くんとタッグを組めば貴方は翔ける。
どこからもなく、根拠のない自信により笑を深める。
「千帆、なんで笑っているの?」
「んー、翔陽がやっと翔たけるんだなーっておもったら嬉しくてね。」
ふふふ、と含み笑いをしながら翔陽の自転車の後ろに乗る。
徐々に加速し始める自転車と流れる風景に流されるまま。