第2章 安定…というものがない。
はぁ…と吐き出す息は白くて、まだ肌寒さを強調する象徴でもあった。
手先も心なしか赤い。
「にしても遅いなぁ…」
少しでも手を暖めようと擦り合わしながら周りを見渡し、幼なじみの翔陽をさがした。が、見つかる気配はない。
さてさてどうしたものか、と思う。
私が通う学校は自転車に乗ったら片道40分かかるのだ。だから早く家を出て行かないと行けないのだが…
「千帆、遅れてごめん!!」
キキキッと金属が擦れる音と共に声がした。
「大丈夫、そこまで待ってないよ」
オレンジ色のふわふわとした髪質で、バレー大好きな幼なじみ、日向翔陽。
カラカラと自転車を押して私のもとへ走りよってくる。